●母を抱えて三千里? 2
写真は、東京都板橋区にある蓮根団地。私が小学校1年生の時に当時の榛原町(現牧之原市)に引っ越してくる前、私たちの一家はこの団地に住んでいました。
引っ越しして以来、母は一度もこの地を訪れたコトはなかったので、退院したら一度ぜひ連れてきてあげたいと思っていたのが果たせず。今回遺骨の形で連れてくることにあいなったわけです。
団地の建物も建て替えられていて、30数年前とはすっかり様変わりしていました。それでも、写真にあるような団地の前の庭の部分に、わずかに当時の感じがしのばれました。
この団地に住んでいた頃は父の仕事も安定していて、都市部の公団で専業主婦の生活を送ることができた母にとっても、ある意味幸せな時期だったのではないかと思います。農村部の学校に転校して、「東京モン」とイジメられる日々を過ごした自分にとってもこの団地への記憶は、甘く温かい思いをともなうものでした。
現実の団地の姿は思っていたよりもずっと小さな敷地内にあるもので、周辺の商店の様子もまったく活気のないものでした。思えばこの団地に住んでいた1960年代、経済は高度成長を続け、多くの住人がさらに豊かな住まいにステップアップしていく希望を持ちながら狭い公団に暮らしていたものと思われます。そんな60年代特有の活気が、この街にはあふれていたのかもしれません。
そんなことを考えながら遺骨を持って団地敷地内を散策した後、静岡への帰路についたのでありました。
