2006年06月30日

●映研日誌 「好きだ、」

精巧なガラス細工、手を触れたら壊れてしまうような繊細な世界が表現された作品。これが監督2作目という若手監督による珠玉の作品。昨年見た「リンダリンダリンダ」もそうだったけど、先行世代とは全く違う独自の表現スタイルが確立されていて、頭の後ろからはたかれたような衝撃を感じました。

数日後の今日、森田芳光監督の「間宮兄弟」を見る。現在の日本で名監督の地位を確立している森田の映画は、日活ロマンボルノ時代からの長い経験が積み上げられて確かにウマイ。音楽、カメラワーク、ロケ情景の美しさ、テンポのいい脚本などなど。直前に「好きだ、」を見ていなかったら、もっと単純に楽しめたかもしれません。

「間宮兄弟」の助演の沢尻エリカや北川景子は確かにキレイで可愛い。しかし、「好きだ、」の宮崎あおいや小山田サユリは美しい。ほとんどスッピンに近くて、衣裳も地味なのに・・。

 17年前に思いを伝えられなかった男女が再会するというだけのストーリー。カメラワークは単調、同じ情景がゆっくりと流れ、セリフ回しも淡々と・・。でも、忘れていた何かが伝わってくるんだ。自分にもそんな気持ちがあったんだ。そんな思いにさせてくれる作品です。ある意味で小津安次郎の系譜を受け継ぐ者とすら言えるのかも知れない。若手世代おそるべし。


2006年06月29日

●ラーメン部日誌 静岡・龍

静岡市の江川町通りに最近オープンした「烏骨鶏ラーメン 龍」。烏骨鶏・ウコッケイは、10数年くらい前だとまだ珍しくて、「幻の卵」なんて言われ方もされましたけど、最近はそこかしこで飼われているのが見かけられます。その烏骨鶏を丸ごとスープに使っているというので、どんなもんかと思って行ってみました。

 ところがメニューを見たらラーメンだけじゃなくて、烏骨鶏カレー、烏骨鶏チャーハン、烏骨鶏雑炊と烏骨鶏のたたき売り状態。 で、味は「豪華なインスタントラーメン」ってトコでしょうか。そう思えば不味いというわけでもない。


2006年06月26日

●W杯 その6

オランダ?ポルトガル戦がいま終わりました。両チーム合わせてイエローカードが16枚、退場者が4名というムッチャ荒れた試合。結局、ポルトガルが虎の子の1点を守りきってベスト8進出を果たしました。

ポルトガルはともかく、オランダもアツくなりやすい国民性なんですねえ、ちょっと意外。そんな中、オランダの若きFWファン・ペルシーの相手ディフェンダーを完全に外すフェイント、切り返しの巧さは目を引きました。また、みんなが興奮してる中で、独り冷静さを保って策を練るオランダ監督ファンバステンの姿も印象的でした。個人的にああいう人好きだなあ。
 しかし、ケガ人や出場停止者が続出したポルトガル、次のイングランド戦はキッツイものがありますねえ。どうなるんでしょうか?
 写真は、この試合で一番大変な思いをした?主審。お疲れさまでした、デス。


2006年06月25日

●W杯 その5

決勝トーナメント1回戦、マイ優勝候補アルゼンチン?メキシコの素晴らしい試合がいま終わりました。

 解説の反町次期日本五輪代表監督(清水東出身)もオォッーと思わず叫んだ前半35分のプレー。アルゼンチンのフリーキックに対するメキシコのオフサイドトラップ。統一された意志に基づく息のあった動きは美しい!そして、アルゼンチンの特徴に対応したメキシコの見事な組織的ディフェンス。

 そして、その組織的ディフェンスの壁を打ち破ったアルゼンチンの個人技。延長前半8分の、ソリンからの早いクロスボールを胸でトラップして左足のボレーシュートでゴールを決めたロドリゲス、素晴らしい!

しかしそのような個人技も、勝つために統一されたチーム意志の上に生まれるのです。そのような集団意志を作りあげることこそが、指揮官の第一の役割。その意味で、両国の監督の指揮は素晴らしかった。日本代表の監督にジェフ千葉のオシム監督が就任することが報道されましたが、彼ならばそうした集団意志を日本代表に生ましめてくれるでしょう。その下でアシスタントコーチを務めることになる反町五輪監督にも期待するところ大です。日本代表でもこんな戦い方を見せてくれ!

写真は、延長戦突入前に円陣を組むアルゼンチン。選手の気持ちが一つになっていくのを感じさせるシーンでした。


2006年06月24日

●W杯 その4

「おたくの国の代表はどんなサッカーするの」と聞かれたら? アルゼンチンなら「多少汚いけど勝ちを追求するサッカー」、ブラジルなら「個人技を生かした華麗なサッカー」、イタリアなら「堅く守ってワンチャンスをしぶとく決めるサッカー」、ドイツなら「基本に忠実な意志堅固なサッカー」、韓国なら「とにかく走り回る根性のサッカー」てなコトになるのでしょうか。で、日本代表はと言うと?

昔、東京6大学の明治大学野球部に島岡監督という名物監督がいました。「御大」と呼ばれたこのヒト、ピンチになると巨体をゆすってマウンドに歩いて来て、集まった選手たちにただ一言、「何とかせい!」。毎度この調子で、技術論も戦術論も一切ナシ。けれどもこれが結構効果があって、明治のエースだった星野仙一も「男意気に感ず」てな感じで、この一言を聞くと好投したものでなんて伝説がありました。年齢差や戦力差が少なくてメンタル面が大きくモノを言う学生アマチュアスボーツの場合はそれでもいいんですが、競争激しいプロスボーツではこうはいかない。特にW杯なんて世界規模の戦いの場ではね。

結局ジーコ監督の下での日本代表って、「何とかせい!」サッカーだったんじゃないかと思うのです。第1戦でオーストラリアに追い上げられた後半、突然小野を「何とかせい!」と投入。期待に答えられないと以後使わない。今日の巻と玉田のツートップも同様。高原、柳沢を軸とすると言っていたのだから、どちらかと組ませるのが筋なのに、丸投げしてしまう。玉田が1点決めたからまだ良かったようなものの、格上相手の戦術の意志統一を図らぬまま選手個人に「何とかせい!」と任せるだけだから、前半は何とか個人の頑張りで耐えられたけど後半は疲れ切ってボロボロになってしまい、チームとしてもバラバラに。一部マスコミで選手の意欲の無さが指摘されてましたが、こんな無定見な選手起用やゲーム指揮を繰り返していたら、選手のモチベーションが下がるのも当たり前。そうした問題に切り込まないまま、安全地帯から「戦う意欲を持て」なんて叫ぶマスコミも何だかねえ・・。結局、ジーコは選手としては素晴らしかったし、鹿島アントラーズ時代に示したように人材育成
という面でも優秀だったが、チーム指揮・監督という面ではそうでなかったという一部で叫ばれていたことが、すべてが終わってからやっと明らかになったということなのでしょう。

 そして、「ジーコジャパンには何も期待できないから、予選リーグは日本でテレビで見て、準決勝からドイツで見てサッカーを楽しむのだ。」というサッカー狂の作家・馳星周の言ったとおりになり、「我々日本人が川淵キャプテンをもてはやし、そのキャプテンがジーコを選んだのだ。(中略)この敗戦の責任は、すべて我々にある」という結論も馳の言うとおりということになったのでした。ホントに残念。

写真は、エコパでのパブリックビューイングの様子。民間の人が個人で企画したとのコトで、意気に感じて行ってしまいました。会場は若い人ばかりで女の子も多かった。ラグビーの日本代表の試合とはエライ違い。


2006年06月20日

●W杯 その3

いやあ、スゴかったですねえー、PKを止めたときの川口。強い気迫にもとづく高い集中力が、ああいうプレーを生むんでしょう。  今朝の韓国?フランス戦ではフランス1点リードの後半36分、放り込まれたクロスボールを清水エスパルス所属のチョ・ジェジンが競り合って前に落としたボールをパク・チソンが足にひっかけて同点ゴール!決してキレイなゴールとは言えませんが、「絶対に追いつくんだ、点を取るんだ」という気迫と執念を感じました。日本代表の攻撃陣にも、あれ位の気迫と執念があれば、ブラジル戦での奇跡の勝利も不可能ではない? 話は変わりますが、日曜日に静岡県民百年会議の学習会が行なわれました。講師の小桜静大教授は、立体地図を使って静岡県の地勢的・自然環境的条件から静岡県の歴史や県民性を説き明かしてくれました。冷静な分析から、斜に構えた悲観的見解を導くのではなく、視野の広い楽観的見解を創り出すのが小桜先生の真骨頂。

「人の足をひっぱるのが好きな静岡県民の“やめまいか精神”は逆に、貿易摩擦など引き起こさないという意味では、国際化に対応できるモノ。いま日本全体がそうなりつつある中で、時代を先取りしているとも言える」という小桜節には思わず拍手!

サッカーをめぐる議論でも感ずるのですが、現実をわきまえない浅薄な楽観論・強気論か、現実認識に基づく底の浅い悲観論が、今の日本では横行してしまっているように思えます。冷静な現実認識に基づき、強固で骨太な楽観的展望を切り拓いていくことが、不利な状況を打開していくために求められるモノだと思うのです。

私たちの勢力によって県知事選に勝とうだなんて、サッカーで日本代表がブラジルに勝つより難しい命題を掲げている私たちなのですから。


2006年06月13日

●W杯その2

いやあ、負けてしまいましたね日本代表。5月31日のブログ上でも危惧したように、リードを守り切る態勢を作れぬまま、後半39分からの3失点で逆転敗けしてしまいました、残念。

「2点目を取れなかったのがすべてだった。FWの決定力が・・」という川淵キャプテンの発言に、何か違和感を覚えつつビールを飲んでフテ寝。朝起きたら、マイ優勝候補の一つイタリア?ガーナ戦の真っ最中。1?0でリードするイタリアを後半にガーナが激しく追い上げるという、日本?オーストラリア戦と似たような展開が繰り広げられていました。

 ここでイタリアの名将リッピ監督が取った策は、テクニックのあるデルピエーロを後半37分にトップ下に投入、中盤の支配力を高めることで守備力を強化。前線に一人だけとなったFWイアクインタへ、後方から直接球を送るカウンターアタックで追加点を追求するというモノ。これが見事に当たり、わずか1分後の後半38分にFWイアクインタがゴールを決めて、勝利を決定づけたのです。

ジーコ監督も同じように後半34分にテクニシャン・小野を投入していました。狙いも同じだったのでしょう。しかし、結果は正反対。その理由はおそらく、チーム内の意志統一の強固さの違いにあります。イタリアは、デルピエーロの投入に即座に反応して布陣を敷き直し、相手のミスを誘ってゴールを決めました。それに対して日本は、チーム全体で小野投入の意味をつかみきっておらず、いい位置に動く小野に球を回すこともできないまま、5分後に同点ゴールを決められてしまいました。

この差を生んだのは、事前のチーム全体の意思確認と、戦術の徹底の有無にあると思われます。この局面ならこう戦う、こうプレーするという決め事がチーム全体に浸透しているイタリア。「個人の力を生かした自由なサッカー」というテーゼのもと、戦術の徹底、集団としての意思形成作業を怠ってきた日本。その差が明確に現われていたと思います。

 ジーコ監督からしたら「細かく言わなくても、それくらい分かるだろ?」と思ってしまうのかもしれません。しかし、日本はブラジルでもイタリアでもない。たかだかW杯で1勝しかあげたことのないサッカー後進国なのです。W杯のような格上のチームを相手にする厳しい戦いであればあるほど、何度も何度も念入りに戦術を確認し、集団の意思を強固なモノに鍛えあげていく必要がある。戦術の徹底に基づき、チーム全体が一つの集団として機能しなければ、個人の自由な力を最大限に生かすこともできないのです。そうしたジーコジャパンの問題点をハッキリと浮き彫りにしてくれた2試合でした。


 それでは、日本代表はもう絶望するしかないのでしょうか?そんなことはありません。自分たちのマイナス面を正しく認識し、チームとしての強固な意思を創り上げることができれば、まだ十分に可能性はあります。ブラジルにだって少ないけれども勝つ可能性はある。中田や川口がいたかつてのオリンピック代表チームは、1試合だけだったけどもそれを成し遂げ、ブラジルを破るという「マイアミの奇跡」を実現させたのですから。野球のWBCの時のように、勝負事はあきらめなければ最後まで何が起こるか分からないのです。

写真は、凄まじい気迫で好セーブを連発したGK川口(清水商出身)。