●本の旅 『自治体破産』
地方自治体の借金である地方債。この地方債が、赤字を埋めるために発行されてきた。特にバブル崩壊以降、景気回復のためと称して大型公共事業を行うために大幅に増やされてきた。
これは、自治体の発行した地方債を、後から地方交付税(国から分配される)で面倒見てあげると、国が誘導してきたから。
フツー人は、自分の予算の枠の中で、より安くより品質のいいモノを買おうとする。これを「ハードな予算制約」と呼ぶ。しかし、誰かが面倒を見てくれるとなると、甘い考えで買い物をするようになる。で、これを「ソフトな予算制約」と呼ぶ。
「いくら借金しても、国が面倒見てくれるからいいや」という感覚=「ソフトな予算制約」が自治体に広がってしまった結果、自治体の借金は増大してきてしまい、いち早く破綻してしまったのが北海道夕張市というワケ。
この「ソフトな予算制約」の問題は、静岡空港事業でも現われていた。「国の借金だから使わなきゃソン」「後は何とかなる」という感覚、気分とずっと戦ってきたように思う。1995年の公聴会で、地元の老人が述べた「どーせ出来るんだから、もらえるモンもらわないと」という発言に象徴されていた。
結局このカベを崩せなかったわけだが、現在の沼津駅高架化事業の問題でも同じ語り口がなされている。「どーせ国や県の金。もらわなきゃソンだ」と。
『本来、必要のない事業であったとしても、借金をしてでも公共事業に取り組んだほうが個々の自治体にとっては、有利な結果になる。まさに、こうした制度そのものの中に、自治体財政を悪化させていく仕組みがビルトインされていると言っても過言ではない。』(同書 P115より)
なるほど。個々の自治体にとっては一見「合理的な借金」なわけだから、県政や市政の場でいくら「税金のムダ使い」と主張してもナカナカ共感を得られないワケだ。
国レベルの制度を変えなきゃ、どうにも変わらないワケね。よく分かった。
