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2007年10月09日

●映研日誌 『櫻の園』

  虚無感に囚われる日々。

  時々かかる“ビョーキ”なのだが、悪化すると何も手につかなくなる。
  モノを考えようとすると、頭がぼんやりしたり痛くなって、やる気が起きない。
  
  言葉も出なくなるし、外にも出たくなくなる。ブログも書けなくなった。

  ネットを見てたら、昔のカノジョがマスコミ主催の講座の講師となっているのを見つけた。「スゴイなあ、成功してるなあ」と思いつつ、自分は無力だなあという感情に落ちいっていく。

  誰かの助けが欲しくなる→求めても得られない→孤独感のみ強まっていく、という悪循環。

  そんな中、偶然一枚のDVDを棚から見つけた。友人から勧められていたが、なぜか見る気が起きなかったモノ。

  20年前に「LaLa」という少女誌に掲載された、吉田秋生のマンガを映画化した作品。創立記念日に毎年チェーホフの「櫻の園」を演ずるという女子高の、演劇部の女の子たちが主人公。

  同級生からも敬語で話される「しっかり者」の部長、志水。
  背が高くて中性的な魅力があり、主役を演ずる倉田。

  志水は、公演当日に校則違反のパーマをかけてきて回りを驚かせる。
  男役に慣れていた倉田は、初の女役に緊張して萎縮してしまう。

  開演直前、部室の裏で2人きりになって、志水は倉田に話しかける。

  志水「あたしねぇ うらやましかったんだ 倉田さんのこと」
  倉田「ええ?」

  志水「だって男の子みたいにさっぱりしてて・・・」
  倉田「あたしは もう少し女の子らしく生まれてきたらって・・・志水さんみたいに」

  志水「あたし? あたしは女らしいとかかわいいとか言われたこと一度もないわよ。いっつも『しっかりした子』って言われて そんなふうに言われたいなんて思ったこと一度もないのに」
  倉田「あたしがもっと小さくて女の子らしかったら 誰か好きになってくれるかな・・・」

  志水「あたし倉田さん好きよ あたしじゃだめかなあ」
  倉田「ううん だめじゃない」

  志水「倉田さん好きよ」
  倉田「うん」

  志水「大好きよ」
  倉田「うれしい もっと言って」

  志水「好きよ 大好き ほんとうよ」
  倉田「うん・・・」

  そして、2人並んで笑顔の記念写真を撮って、公演に臨んでいく。

  ここで言う「好き」は同性愛的なものではない。自分を変えたいと思う少女の、あんな風に自分を変えたいと思う憧れへの、「好き」という感情なのだろう。

  そうした憧れへの思いを伝えられた倉田は、その思いを自分への自信に変えていく。

  自分の思い、他人からの思いをバネにして、自分の目の前の壁を乗り越えていこうとしていく。

  ただ誰かに頼ろうとするのではない、そんな清々しい感覚を感じさせられた。

  ずい分前には自分もそんな気持ちを持っていた?

  壁にぶつかって虚無感に囚われてしまっている自分にも、そうした感覚が少しよみがえった気がした。

  映画を見た後、ネット上で偶然、自分が「好き」だった人の文章を目にした。真面目な文章だった。「ガンバってるなあ」と思った。

  「よし、少しは外に出てみよう」

  そう思った。

    

  

  

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