●河津桜と推薦入試
この日、その塾で秋から政経と小論文などを教えていた女子高生が、本命の奈良教育大に合格したという連絡があった。正直かなり厳しいと読んでいただけに、やった!という思いだった。
彼女は、幼児教育の仕事をしたい。国公立を望む。家庭の事情で関西の大学を望むといった条件から、奈良教育大を志望していた。推薦入試の小論文の問題を見たところ、大学の目指す教育者像と、それを担うべき学生に求める資質の観点から練りだされた良問を出す大学だった。カリキュラムもしっかりしているし、10年ほど前にこの大学に進んだ子を教えた時の印象も良かったので、本人の志望理由もしっかりしているし、ぜひ受かってほしいと思って受験対策に取り組んだ。
試験内容はセンター試験の成績と面接だが、面接の配点が高いため、面接対策がポイントとなり、事前に提出する志願理由書の内容に基づいて面接が行われるため、志願理由書作成には多くのエネルギーを注ぐコトとなった。
幼児教育を志すに至った理由を明確にしていく作業を、本人への聞き取りを行いがら進めていく。幼少期の体験、小学校、中学校、高校時代の体験と思い・・・そうしたモノを聞き取りをしながら洗い出していって、幼児教育に対する本人の強い思いを明確にしていく。同時に大学側の教育理念を調べ、本人がそこに合致した存在であるというロジックを組み立てていく。こうしたモノを総合したストーリーを作り上げて、面接に臨めば、どのような質問が出されても、すべてをこのストーリー・文脈の中に組み込んだ上で答えていくことができるのだ。
この15年間の何回もの選挙戦を経験する中で培ってきた力。候補者の思いと、有権者のニーズに基づく候補者像を作り上げ、それを宣伝していく。この手法を大学推薦入試という場において、極めて有効に応用することができたと思う。
しかし、勝因の第一は何といっても本人の情熱と執着心であろう。保育園児の頃から「将来保育しになりたい」と思っていたという情熱。数回の書き直しを経て、「もういいだろう」とこちらが思った志望理由書の原稿を、「やっぱりここが気になって・・・」と自ら何度でも書き直してくる姿勢。締切りギリギリとなる中で夜中の12時まで塾で粘って、原稿の修正作業を進めるエネルギーに、最近の若い世代の執着心の薄さに慣れた身としては、正直驚かされたものだった。
コーチングする側の者としても、非常にいい勉強をさせてもらえたと思う。最後に合格という良い結果も出してくれて、本当にいい体験とすることができた。大学に進んでも、その情熱を生かして自分を伸ばしていってほしいと思う。
そんな気持ちで見上げた河津桜が美しい!
