ドイツやフランスでは一定の存在となっている「緑の党」。
ラグビーを見に東京に行った際に、その「緑の党」の日本での結成に向けての集会が開かれる、と聞いたので参加してみた。
資料の中に「2030 みどりのアジェンダ」というモノがあった。「脱原発と再生可能エネルギーへの全面的な転換」などをうたう、12ある基本政策の中で、「食料自給率80%に倍増」というフレーズが目についた。
自給率80%!?
最近、写真の『「食物自給率」の罠』という本を読んだばかりだったので、「80%」という数字にはいささか鼻白んでしまった。
著者の川島博之・東大大学院准教授によると、「国土が狭い日本では、コメを生産するだけで精一杯であった。その狭い国土に暮らす日本人が、経済成長に伴い、肉、牛乳、植物油をもっと摂りたいと思った。だが、飼料作物や油用作物を大量に生産する土地など残されていない。だから、輸入したのだ。」というコトになる。
そもそも自給率の低下は当然のコトなのだ。
川島准教授は、もともと「日本の人口規模に対して、国内の農地面積はあまりにも狭い。」のだと指摘する。
農地1ヘクタール当たりの扶養人口(養う人口)は、日本の27.4人に対して、イギリスは10.0人で、インドは7.0人。イギリスやインドとは人口密度ではたいした差はないのに、これだけの違いが出てしまう。
ちなみにフランスは3.2人で、アメリカは1.8人。
「日本は農地が少ない割に人口が多い」という事実をよく認識しなきゃいけないと、川島准教授はいう。
ところで、1945年に約7200万人だった日本の人口は、2005年に約1億2800万人になった。
戦後だけで5600万人も増えた人々に住宅を供給するために、その少ない日本の農地は減少してきたのだという。
その結果、1961年に609万ヘクタールと史上最大となった農地面積は、2007年には465万ヘクタールにまで減少するコトとなったのだ(住宅地になったのは100万ヘクタールくらいらしい)。
「農地1ha当たりの人口が多いために食糧の自給が大変だった国で、さらに人口が増加し、それに伴い農地も減ったのである。それは、明治時代でも大変だった食糧の自給を一層困難なものにした。」と川島准教授は述べている。
日本でこれから自給率を上げるとしたら、ソートー大変なのネ。
さて、「2030 みどりのアジェンダ」の基本政策の解説部分では、「1960年の日本の食料自給率は80%。40年後の200年以後40%で推移。イギリスのように20年間で30%アップさせた実例があり、日本でも20年で40%アップは可能」と主張されている。
農地が史上最大であった1960年の頃は、確かに自給率80%だった。そこから約25%も農地が減ってしまった現状から、どーやって戻すっていうんジャロ?
それでは、465万ヘクタールの農地のうち、145万ヘクタールもあるという休耕田、耕作放棄地を活用したらどうーだろう?
コメは供給過剰もいーところだから、その145万ヘクタールの農地で小麦を栽培して、パンやうどんにしてみたら・・・。
川島准教授の試算によると、その結果小麦の完全自給は可能になるという。
ただし、そのように「休耕田や耕作放棄地をフルに活用しても、日本ではカロリーベースの食料自給率を50%程度にするのが精一杯のようである。」とのコト。
それじゃあ80%自給率達成のために、地方にある工場を農地にして、都会のサラリーマンを強制移動させて農業に従事させる、ってか?
ポルポトか毛沢東かっ!?(笑) (※この部分はシャレですから、もし関係者の方が読んでも怒らないで下さいネ)
さて、イギリスでの自給率30%アップというのは、第1次世界大戦の前の1914年(大正3年!)と比べてのコト。
実は、イギリスの主食である小麦などの穀物は、1950年ごろから単位面積当たりの生産量(単収)が急速に増大した。
それは化学肥料が大量に使われるようになったため。1910年代にドイツで開発されたハーバー・ボッシュ法によって、空気中の窒素を固定化して肥料にすることができるようになった。
しかしこの技術は、火薬の製造にも応用できるため、第2次大戦が終わるまでは火薬製造が優先された。そして戦争が終わり、化学肥料が大量に作られるようになると、穀物の単収は急速に増大するコトとなる。
農業先進国だったフランスでは、1950年ごろに1ヘクタール当たり1.5トン獲れた小麦が、50年後の21世紀には1ヘクタール当たり8トン(6倍!)も取れるようになったという。
それで、小麦が余るようになったフランスは、他国へ輸出するようになり、その結果としてフランスの穀物自給率は165%(2007年)にもなっているというワケだ(以上は、川島准教授著『「作りすぎ」が日本の農業をダメにする』より)。
それを考えれば、日本のコメと違って、主食としての小麦の割合があまり変化してこなかった(らしい)イギリスにおいて、自給率が向上してるコトは当然のコトともいえる。
要はスケールのとり方に注意し、その国の歴史と実情をシッカリと把握した上で、自国と比較するコトが求められるのだ。
イギリスにおいて1914年〜2000年代に、自給率が30%アップしているから、日本においても2011年〜2031年に同じように自給率をアップできる。そのように考えるのは、ムリ筋なのだ、というコトなのである。
それにしても、60人以上の地方議員を抱える組織というのだから、基本政策に関してはもう少しシッカリ考えてほしいモノだとも思う。ただし、その多くは都市型議員なのだろうから、農政に関しては弱い面があっても仕方がないのかもしれない。
ただ、「イギリスで30%できたんだから、日本でも40%くらい可能として、40%プラスして80%の自給率を目指そう!」なんて安易な考えで基本政策を作っているんだとしたら、「他の政策もそんなモンでないの?」と思われても、やむなしだと思ふ。
この基本政策を掲げて2013年の参議院選挙に挑むとのコトだが、「脱原発」に政策を絞って、知名度のある候補者を立てれば、1議席は獲得可能かもしれない。
参議院に、衆議院とは違った役割を期待するならば、なるべくいろんな層の代表がいるコトが、参議院には望まれると思うから、こーいう勢力が議席をもってもいいかもしれない。
健闘を期待したいトコロでアリマス。