録画してあった、NHKの歴史大作ドラマ『坂の上の雲』の第12回「敵艦見ゆ」を見た。
戦費を使い切ってしまう前に、戦局が有利なうちに、何とか戦争を終わらせよう。
高橋英樹演ずる児玉源太郎・満州軍総参謀長や、米倉斉加年演ずる満州軍総司令官大山巌といった軍指導部が、国のサイフ=財政を気にしながら、状況を乗り越えていこうとする姿が描かれる。
ナレーションで、司馬遼太郎の言葉が以下のように語られる。
「戦争による財政的滅亡という危機感が最初からあったために、日本政府がこの時ほど国家運営の上で財政的感覚を鋭くしたことは、それ以前にもそれ以降にも無い。」
「この同じ民族の同じ国が、はるかな後年、財政的にも無謀極まりない太平洋戦争をやったということは、ほとんど信じがたいほどであった。」
日露戦争の時は、高橋是清・日本銀行副総裁がイギリスやアメリカを駆けめぐって国債を売り、戦費を調達した。それでも、GDPに対する借金の割合は約70%ほどだった。
それが、日露戦争から約40年たって「財政的にも無謀極まりない太平洋戦争をやった」頃は、何と199%!。
その財政に対する感覚の鈍さを、「ほとんど信じがたい」と司馬遼太郎が評するのもムベナルかなと思う。
その「無謀極まりない」戦争から約70年。この国の国債の発行残高は800兆円を突破!GDPに対する借金の割合は、200%を超えてしまっている。
こうした中で、民主党・野田政権は消費税の増税を訴え始めた。これは正しいのか?
1996年10月に行われた衆議院選挙。国債の発行残高がまだ200兆円台だった頃、自民党・橋本龍太郎政権は消費税を3%から5%に増税することを訴えた。
自分はこの時の衆議院選挙に、静岡空港問題の地元静岡2区から出馬し、様々な嫌がらせを受けながらも、静岡空港などの「ムダな公共事業」の見直しや消費税3%すえ置きを訴えた。
この衆院選後の97年。橋本政権は消費税の増税を断行。国債の増加額は約20兆円から約13兆円へと少し減ったが、増税によって回復しかけていた景気は再び不景気におちいり、増加額は37兆円に急拡大。
その後の小渕政権となって、景気対策のためのバラマキ財政はさらに拡大し、静岡空港などの「ムダな公共事業」も継続されていった。
その結果としての2011年。ここにいたって民主党・野田政権は、消費税を10%に増税し、凍結していた八ツ場ダムの工事を再開し、整備新幹線3区間の建設を着工するという。
信じがたい!
「戦財政的にも無謀極まりない戦争」の反省から、原則として禁止されていた赤字国債の発行(公共事業のための建設国債は例外)。
しかし、1975年に三木政権の大平正芳大蔵大臣が苦渋の決断で赤字国債を本格的に復活させる(1965年に1年のみの発行はあった)。
大平蔵相の苦渋の決断ぶりからは、敗戦への反省によって復活した「財政への鋭い感覚」が、敗戦から30年後の時点ではまだ生き残っていたコトが感じられる。
しかし、70年後の今の政権から感じ取ることは出来ない。それは、日露戦争時と太平洋戦争時の国の指導部の、財政に対する「信じがたい」感覚の違いと似ている。
「坂の上の雲」第12回では、見張りの船が対馬沖でロシア・バルチック艦隊を発見し、「敵艦見ユ」との報告。主人公の一人秋山真之(さねゆき)が属する連合艦隊が、バルチック艦隊に日本海海戦を挑むトコロで終わる。
96年の衆院選以来、税金の使い方をめぐって格闘してきた自分。その心に変化は無い。
だが、具体的な闘う課題であった静岡空港が完成してしまって以来、「敵艦」は見えなくなってしまっていたように思う。
その「敵艦」が、徐々に見えてきたような気もする2011年末。
来年は、闘いの再開の年になるかもしれない。
なんてネ♪。
(写真は、ロシア兵の死体に敬礼する主人の一人・秋山好古)