●図書委員会日記『時間と学費をムダにしない大学選び 2012 』
最近自分は、高校2年生の教え子の進路相談への答えに迷っていた。
出版社系の仕事につきたいという本人の希望(まあ甘いモノだが・・)。
地方よりは大都市、特に東京。難関大学。マスコミ系に強いトコ。
なんて条件を探っていけば、「まあ東大、一橋、早稲田、慶応でイイんじゃない?」なんて当たり前の結論に達する(笑)。しかし、少人数の子とジックリ付きあう我が方としては、そんなお気楽な態度を取るわけにはいかない。
その一方で、「マスコミ科やメディア科行けばあ?」なんて、社会の実態をわきまえない意見もある。しかし、大学に進んだ後も何だかんだとつきあいが続く我が方としては、卒業した後のコトを考えない無責任な態度も取れまヘン(笑)。
「いまの学力では、旧帝大レベルはムリ」「自分の知り合いの新聞記者たちで、マスコミ科卒業の類は一人もいなかった」という中から、ど〜しよう?と思って大学ガイド本をアレコレ見てみたが、どれも役に立たない。
大学の広告ばかりの本。キチンとデータや事実を確認していない本。社会や業界の実態を把握していない本。そんなのばかりでど〜しようもない。
仕方がないのであきらめて、偏差値データ本(写真下)を基にして合格可能性から複数の大学をピックアップ。そこから各大学や教授のデータをサイトで調べて何とか構想をまとめてみた。
が、不安は残る・・。と思っていたトコロで、昨日見つけたのがこの本。
何とスバラシイ!
マスコミ、公務員、司法など業界を15分野に分けて、各分野ごとに関連した大学の情報を細かく載せている。ここで特にスゴイのは著者(2人)がすべての大学を直接訪れ、その雰囲気や学生間の関係の一部までを把握しているコト。
例えばマスコミの章で、東海大学について「湘南キャンパスは都心から非常に遠く、マスコミを目指すうえで重要な、社会人や他大生との交流に、交通の便が非常に悪く、また学費も高く、本書では強くお勧めはしない」とハッキリと指摘しているトコロなどは、大学から広告代を集めて作っているガイド本では100%ありえない見事な内容である。
さらに、「触れておきたい、漫画・雑誌・書籍」(マスコミ)として、ノンフィクション作家の佐野眞一の中高生向けの新書。戦場カメラマンの不肖・宮嶋茂樹の中高生向けの本。地方テレビ局を題材にしたマンガ『チャンネルはそのまま!』。『週刊ダイヤモンド』や『創』などの雑誌といった、高校生でも消化できるモノをキチンと紹介している。
そして、業界の内容についいても、細かく分類した上で分かりやすい言葉で説明してくれている。マスコミのテレビ関係だったら、キー局、準キー局、地方局、局アナ、タレント要員アナ、フリーアナウンサー、プロデューサー、ディイレクター、AD、テレビ局営業、テレビ局編成、テレビ局技術職、放送作家、テレビ製作プロダクションというように。
また、16章で「なりたい職業がわからない」、17章で「お金がない」というコーナーを設けて、各大学の奨学金制度を紹介するなど、悩める高校生に対応する姿勢をとっている点もスバラシイと思う。
このように多くの点で優れている本なのだが、なにより著者の姿勢がヨイ。それに関して目を引いたのは、マスコミの章での以下の記述だった。
「多くの卒業生が大手マスコミに入る有名大学でなくても、マスコミで活躍できる可能性はある。そのためには、多くの有名大学の学生をしのぐ、卓越した専門分野の確立や、人とは違う強みを打ち出す努力をするべきである。」
「本書の著者2人は、マスコミに強い大学に入ったわけでも、マスコミ就職講座を受けたわけでも、人気の大手マスコミに入社したわけでもないが、自らの力でマスコミで活躍するすべをつかもうとしている。既存の価値観に縛られない、反骨精神のある諸君が続いてくれることを切望する。」
自らの立場を明らかにしながら、高みに立たずに、若い人たちに励ましの言葉を送っている。
「○○になりたいけど、オレの学力じゃ」とか「ウチの大学出ても○○にはなれない」なんてコトばっかり言っている高校生や大学生に、ぜひとも聞いてほしい言葉だ。
世の中の実態をシッカリ把握し、自分の実力をキッチリとわきまえた上で、自らの力で努力していくコト。そのコトの大切さを伝えてくれる著者の姿勢はホントにスバラシイと思う。
単なるデータ本とはまったく違う、価値ある本。定価1800円はまったく高くない。
ぜひ一度読まれたし!






